シミュレーションモデル

職場で社員がうつ病などメンタルヘルス不調を発症すると、休職後復職や休職後退職、あるいは休職と復職を繰り返すなど様々な経過をたどることが知られています。今回私どもは、発症→休職→復職という経過をたどった場合に、企業に発生する損失コストを試算する枠組みとして、新たなシミュレーションモデルを開発しました。

まず、シミュレーションモデルの基本的な考え方を記述した前提条件[表1]について説明します。
次に、シミュレーションモデルに基づいて作成したイメージ例(生産性の変化とコスト発生について)[図1]損失コスト試算例[表2]について説明します。

シミュレーションモデルの前提条件[表1

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シミュレーションモデルのイメージ例[図1

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メンタルヘルス不調を発症し3ヵ月勤務、1年休職後、完全復職に3ヵ月要したケース

  1. 発症期:3ヶ月
    メンタルヘルス不調を発症した本人が、休職に入る前に勤務を続けるものの、その間も生産性は徐々に低下します。本人の生産性の低下は、職場の同僚がカバーせざるを得なく、本来業務に加え本人の仕事をカバーする業務がプラスされ、仕事の負担は増し、同僚の人件費は残業代などの発生により増加します。
  2. 休職期:1年間
    本人が休職となり、代替社員を採用する場合には、採用コストと初期教育コストが発生します。また、職場の同僚には代替社員の教育(OJT)に時間をとられるため、代替社員が業務に慣れるまでは仕事の負担は増したままとなります。代替社員が仕事に慣れていくにしたがって徐々に生産性は向上し、同僚社員の仕事の負担は軽減されます。
    一方、代替社員の知識やスキルは、休職者本人のレベルに到達することは望めないため、同僚社員は一定水準の仕事の負荷が継続します。
    職場の上司や人事担当は、休職中の本人との連絡を取るなどの対応が必要となり、普段発生しない業務が加わります。
  3. 試し出勤期:3ヶ月
    本人が復帰しても、すぐに以前と同様のパフォーマンスは期待できません。復帰直後は、本人の仕事のカバーを同僚がカバーせざるを得なく、同僚の負担は一定発生します。本人の回復にともない、通常に戻ります。

シミュレーションモデルの損失コスト試算例[表2

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メンタルヘルス不調を発症し3ヵ月勤務、1年休職後、完全復職に3ヵ月要したケース

企業規模100人から999人の企業に勤める30代前半男性社員(係長、年収600万円)が休職を1年間して復職した場合、シミュレーションモデルに基づいて試算すると、企業に発生する損失コストは925万円になります。